─ 72 ─
社会の構造
月 4 ( 2 単位).対象学部:文系,理,農.担当教員:横関 理恵 所属部局等:高度教養教育・学生支援機構.開講セメスター: 2
セメスター.科目ナンバリング:ZBS-SSO801J.使用言語:日本語.
1 .授業題目:
東日本大震災からみる現代日本社会
2 .授業の目的と概要:
大きな自然災害が社会に与える被害と、そこからの復興過程においては、その時代の社会が構造的に抱える課題が浮き彫りになり
ます。2011年に発生した東日本大震災においても、地方における過疎化の進展とコミュニティの弱体化、人口減少社会への突入と
いう社会課題が、復興を困難にしています。また福島第一原子力発電所の事故は、広域避難という課題だけでなく、原子力発電と
エネルギー政策について大きな課題を提起しました。その他、避難や防災のあり方、震災遺構の保存や震災伝承、NPO やボラン
ティアの役割、子どもやマイノリティ支援のあり方なども問われています。こうした東日本大震災が提起した様々な社会課題を学
び、そこから現代日本社会の構造と課題解決の方向性について学ぶことが、本講義の目的です。
3 .学習の到達目標:
・ 東日本大震災が明らかにした社会課題の特殊性と普遍性についての理解。震災によって明らかになった多様な課題について、具
体的な事例にそって理解するとともに、その課題が被災地のみならず、現代日本社会全体の課題につながる普遍的な側面を持つ
ことを、講義の聴講やグループディスカッション等で理解します。
・ 社会課題の学際性と課題解決の方向性についての理解。震災によって明らかになった多様な社会課題は、例えば原発事故の問題
を取り上げても、単独の学問分野のみによるアプローチや単独のセクターによる取組みでは十分な理解・解決が困難であり、学
際的視点や協働的発想が必要なことを理解します。
・ 自らの専門性・市民性との関連による理解。講義を通じて学ぶ社会課題について、自らの専門性との関連、あるいは市民性(地
域社会における防災やまちづくりへの関与、生命の尊厳や人権に関する尊重意識、市民活動・ボランティア活動への参加、自治
体・国家政策への関心等)との関連という視点から理解し、他人事としない態度を身に付けます。
4 .授業の内容・方法と進度予定:
東日本大震災に関する研究や実践に関わっている東北大学教員および被災当事者や支援者、学外の研究者等を講師としてお招き
し、以下のテーマについて講義します(実際には講師のご都合で順番が入れ替わる可能性があります)。講義の終わりには、でき
るだけ学生同士のディスカッション等を行い、理解を深めます。
第 1 回 オリエンテーション
第 2 回 被災の実際と避難の課題
第 3 回 防災と伝承の課題―震災遺構と語り部①
第 4 回 防災と伝承の課題―震災遺構と語り部②
第 5 回 生活再建・コミュニティ形成の課題
第 6 回 復興まちづくりの課題①
第 7 回 復興まちづくりの課題②
第 8 回 原発事故と復興の課題①
第 9 回 原発事故と復興の課題②
第10回 フィールドワーク報告
第11回 東日本大震災と子ども・教育の課題①
第12回 東日本大震災と子ども・教育の課題②
第13回 東日本大震災とマイノリティの課題①
第14回 東日本大震災とマイノリティの課題②
第15回 学生同士のディスカッション、全体のまとめ
10〜11月中に、講義中に紹介する課外・ボランティア活動支援センター主催のスタディツアーやボランティツアーへの参加、ある
いは震災関係の追悼施設・展示施設等を訪問するフィールドワークを各自で行い、第 9 回目の講義(予定)でその結果を報告し合
います。
5 .成績評価方法:
ミニッツペーパー50%、フィールドワーク報告20%、最終レポート30%
6 .教科書および参考書:
7 .関連 URL:
東北大学課外・ボランティア活動支援センターhttps://www.ihe.tohoku.ac.jp/?page_id=7395
8 .授業時間外学習:
講義時間外に最低 1 回フィールドワークに参加してもらいます。また、最終レポートの作成にあたり、東日本大震災に関わる自主
的な学習が必要です。
9 .その他:
本講義は東北大学だからこそ学べる科目ですので、積極的な参加をお待ちしています。