─ 106 ─ 科学と情報 月 1  ( 2 単位).対象学部:文系,理,農.担当教員:中村 教博,芳賀 満,ROBERT‌MARTIN,渡邉 由美子 所属部局等:高 度教養教育・学生支援機構.開講セメスター: 1 セメスター.科目ナンバリング:ZBN-SIN801J.使用言語:日本語. 1 .‌授業題目:    ビッグヒストリーで紡ぐ社会と自然科学    Big History: connecting natural science to society 2 .‌授業の目的と概要:    目的:宇宙創生・地球誕生から現代社会に至る138億年の歴史を "Big History Project" を参考に概観する。また、既存の常識を打ち破りながら科学者が 歴史を紡いできたことを学び、皆さんも常識を打ち破る素養を養う。さらに、自然科学や人文科学の歴史観から、社会問題を捉え直す。特に二酸化炭素 と気候、人類の歴史観を通して、未来の社会と自然科学の関係を考える。    概要:社会や宇宙、地球は穏やかに変化するものであって、常識から極端に外れるような変化は非現実的で起きないと信じていた。しかし、リーマン ショックや東日本大震災など、我々はこれまでの常識では計り知れないほど複雑で、非現実的な変化が起きることを知った。現代社会は、社会的に何か しらの転換期を迎えているのかもしれない。これまでの常識を踏まえつつも、それを突き破って新しい概念で事象に当たらなければ、現代社会に潜む 様々な問題を解決してゆけないかもしれない。この授業では、宇宙創生・地球誕生から現代社会に至る138億年の歴史のうち、いくつかの出来事(原本 にある 8 つの出来事とは少し異なる)を取り上げて、歴史がどのように科学的に編まれたのかを概観する。また、自然科学者や人文社会科学者が積極的 に異分野の知識を吸収し、丹念に証拠を集めて試行錯誤し、パラダイム・規範的考えを変換しながら、宇宙創生・地球誕生から現代社会に至る138億年 の歴史をどのように科学的に紡いできたのかを学ぶ。    授業内容を実感するために、屋外での作業や簡単な実験、工作、グループ議論などを取り入れているので、通常の座学とは少し異なっている。    History consists not only of historical documents, such as ancient Chinese literature, but of many lines of prehistorical scientific evidence. This course,  called "Big History" provides a historical overview from the Big Bang, 13.8 billion years ago, to the present, and also highlights scientific evidence from  various disciplines to construct Big History. We are now facing a complex and unpredictable phase in our society's evolution. To get a panoramic  vision to the future, we can learn a lot from our history from the Big Bang to the present. 3 .‌学習の到達目標:    科学的な証拠に基づいて紡がれた宇宙・地球・生命の歴史に関する知識を知る。また、異なる学問分野の知識が組み合わされて、既存の常識を打ち破る 仮説が生み出されることでパラダイムが転換され、歴史が紡がれてきたことを、いくつかの事例を取り上げて解説する。この講義を受講することで、既 存の知識を理解し、それを新しい視点でつなぎ合わせることで、全く新しい考え方や概念を生み出せることを学んで欲しい。 4 .‌授業の内容・方法と進度予定:   第 1 回  なぜビッグヒストリーを学ぶのか?(時間軸と歴史)    # 1  Why do we learn Big History?(Timeline and history)   第 2 回  ビッグヒストリーとは?(英語)    # 2  What is Big History?(in English)   第 3 回  ビッグバンから元素合成    # 3  From the Big Bang to nucleosynthesis   第 4 回  原始太陽系形成と年代決定    # 4  The formation of the solar system and radioisotope dating   第 5 回  アストロバイオロジー:暗い太陽のパラドックスと生命誕生    # 5  Astrobiology: Faint young Sun paradox and the origin of life(in English and Japanese)   第 6 回  アストロバイオロジー:初期生物進化    # 6  Astrobiology: Evolution of the biosphere(in English and Japanese)   第 7 回  生命とは何か?(英語)    # 7  What is Life? Evolution and diversification(in English)   第 8 回  地球全球凍結    # 8  Snowball Earth Hypothesis   第 9 回  極暑地球と資源    # 9  Hot climate on Earth during the dinosaur age and oil   第10回  地球環境の寒冷化と人類の発生・進化、    #10 History of Earth's climate and human evolution   第11回  先史時代から歴史時代初期の文化と社会 I    #11 Agriculture and civilization   第12回  先史時代から歴史時代初期の文化と社会 II    #12 Agriculture and civilization   第13回  現代社会と地球温暖化問題    #13 Global warming, ancient earth and our society   第14回  千年に 1 回の巨大地震と災害:地質学的時間感覚    #14 Geological sense of time: Mega-earthquake and natural disasters   第15回  これからどうなる?これからどうする?(グループディスカッション)    #15 Future Earth(Discussion)    講義中にみなさんに意見を求めたり、屋外に出かけたり、簡単な実験を行うことがある。 5 .‌成績評価方法:    授業への貢献度( 2 点×15回)、レポート課題( 5 点満点×13回)とグループディスカッションまとめ( 5 点)で評価しする。    Attendance( 2  points × 15)Report evaluation(Grades of 1-5 × 13)and Group discussion( 5  points)count for 100 points for the evaluation. 6 .‌教科書および参考書:    ビッグヒストリー われわれはどこから来て、どこへ行くのか――宇宙開闢から138億年の「人間」史」 デイビッド・クリステンセン 明石書店 2016  7 .‌関連 URL:    https://school.bighistoryproject.com/bhplive 8 .‌授業時間外学習:    毎週 1 時間程度を使って、講義ノート、ハンドアウト(授業後に ISTU にアップロードされる)で学習を振り返り、さらに関連 URL 等の視聴をして、 講義で出された「謎や課題」を A 4 用紙 1 枚以内のレポートにまとめて、講義後 1 週間以内に、ISTU を通じて提出する。レポートの評価基準(ルーブ リック)を ISTU にアップロードしておくので、その基準に従って毎回レポート評価したのち、ISTU を通じて返却する。    Students need to submit a report by the next lecture. The theme of reports is given by each instructor at the end of lectures, and will be uploaded in  ISTU. 9 .‌その他:    講義内容は、できるだけ専門の基礎知識を必要としないように工夫する。従って対象学生は、文科系・理科系の学部を問わない。    This is a general, entry-level course that is open to all students, regardless of their study program and background. Students from various fields  outside science are encouraged to take this course, knowing that this is an introductory course that is held in Japanese.