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科学と情報
月 4 ( 2 単位).対象学部:文系,理,農.担当教員:山内 保典 所属部局等:高度教養教育・学生支援機構.開講セメスター: 2
セメスター.科目ナンバリング:ZBN-SIN801J.使用言語:日本語.
1 .授業題目:
展開ゼミ】あなたの選択:事例で考える学びと研究における倫理
2 .授業の目的と概要:
知を生み出したり、活用したりする際に、どのような作法に従い、何を考慮すべきなのかについて理解することは、知識基盤型社会にお
いては、研究職に限らず、様々な場で活躍する上で必要です。同時に、新しい知は次々に生まれており、その中で生じる問題に対処する
ためには、その作法自体も更新していくことが求められます。
現在、研究倫理に関する有用な指針は多くあるものの、個々の具体的な場面では、何が正しい行為なのかを判断することや、望ましい行
為を実行することが難しいこともあります。その一方で、大学生活の中で、皆さんはこのような悩ましい問題に取り組み、作法を知るだ
けでなく、実践できるようになることが期待されています。
そこでこの授業では、皆さんが実際に学びや研究活動の中で直面しそうなジレンマが存在する事例を題材に、複数の行動の選択肢がそれ
ぞれどのような価値を重視しているのか、その中で一般的にはどのような行為が推奨されるのか、その望ましい行為を妨げている原因や
状況は何か、どうしたらその原因を取り除いたり、回避できるのかについて考えていきます。
3 .学習の到達目標:
知識・理解】社会の期待と責任を担っていることを自覚する。研究倫理に関する代表的なジレンマと、そこで研究倫理の観点から推奨
される行為とその理由について説明できる。
関心・意欲】正解が一つではない問題に対し、粘り強く考えることができる。事例で端的に表現されている研究倫理に関するジレンマを、
現実に起きている具体的な事例と対応づけられる。研究倫理が問われる日常的な事例を自ら発見できる。
思考・判断】研究倫理について自分の意見を持ち、論じることができる。相容れない価値観についても、その立場に沿って思考するこ
とができる。
表現・技能】意見が異なる人とも議論を構築できる。主張の共通点や相違点を分析し、整理して表現することができる。
4 .授業の内容・方法と進度予定:
第 1 回:ガイダンス
教員の紹介、授業概要および成績評価の説明、受講生の自己紹介等を行う。
第 2 回:責任ある研究活動の概説
責任ある研究活動と、それを遂行する鍵となる「アカデミック・インテグリティ」を紹介する。
第 3 回・第 4 回:学びの場に参加する-授業に関連する事例
代返や遅刻は、「アカデミック・インテグリティ」の観点から見た場合、どのような場合に、何が問題になり得るのでしょうか。架空の
事例に基づいた議論等を通じて考えていきます。
第 5 回・第 6 回:共に学ぶ-議論に関する事例
議論をコントロールしすぎることや、逆に、まったく発言をしないことは、「アカデミック・インテグリティ」の観点から見た場合、ど
のような場合に、何が問題になり得るのでしょうか。架空の事例に基づいた議論等を通じて考えていきます。
第 7 回・第 8 回:学習成果を自分の言葉で表す-レポートに関する事例
コピペで作成したレポートや、友人の実験データを書き写すことは、「アカデミック・インテグリティ」の観点から見た場合、どのよう
な場合に、何が問題になり得るのでしょうか。架空の事例に基づいた議論等を通じて考えていきます。
第 9 回・第10回:研究現場の事例
研究者や技術者が直面する可能性ある問題について、動画教材等を使いながら考えていきます。
第11回・第12回:社会の中の科学を巡る議論
科学技術と社会の接点で生じる問題について、議論等を通じて考えていきます。
第13回・第14回:あなたと研究倫理
学生自身が見つけてきた学びや研究に関する倫理を巡る問題を持ち寄り、議論等を通じて考えていきます。
第15回:振り返り
これまで扱ってきた問題と、そのときの自身の考えを振り返り、自分の研究倫理に関する考えを批判的に検討する。
*受講状況を見ながら、適宜、変更する可能性があります。
5 .成績評価方法:
1 . 授業への貢献度:28%( 2 点×14回)
2 . 小レポート:70%( 5 点×14回) *毎回小レポートを課します。
3 . 活躍点: 2 % *授業での活躍に応じて 0 点 -2点を加算します。
6 .教科書および参考書:
科学者を目指す君たちへ 米国科学アカデミー 化学同人 2010 参考書
ORI 研究倫理入門 ニコラス・H. ステネック 丸善 2005 参考書
そのとき、エンジニアは何をするべきなのか Alastair S. Gunn・P. Aarne Vesilind 森北出版 2007 参考書
ここからはじまる倫理 アンソニー・ウエストン 春秋社 2004 参考書
背信の科学者たち ウイリアム・ブロード 講談社 2014 参考書
7 .関連 URL:
科学の健全な発展のために-誠実な科学者の心得-【テキスト版】」(日本学術振興会)
http://www.mext.go.jp/a_menu/jinzai/fusei/1353972.htm
THE LAB」http://lab.jst.go.jp/
8 .授業時間外学習:
毎回、授業を振りかえるための小レポートを課します。
加えて、ワークショップや議論に必要な準備を宿題として課すこともあります。
9 .その他: