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課題解決型(PBL)演習 A
金 3 ( 2 単位).対象学部:全.担当教員:横関 理恵 所属部局等:高度教養教育・学生支援機構.開講セメスター: 2 / 4 / 6 / 8
セメ.科目ナンバリング:ZDG-GLB807J.使用言語:日本語.
1 .授業題目:
展開ゼミ】福島における人権保障と共生の課題―原発事故後を生きる人々に寄り添う
2 .授業の目的と概要:
2011年 3 月11日の東日本大震災に伴う福島第一原子力発電所事故は、多くの人びとの暮らしを破壊し、社会に亀裂を生んだ。社会
全体として風化が進む中で、未だ 4 万人を超える避難者が存在し、避難指示解除後に帰還した人々も新たな暮らしの課題に直面し
ている。福島県では事故 4 年を経て自殺者が急増し、その背後には「曖昧な喪失感」があるとの指摘もある。さらに今回の原発事
故は、原子力政策や被曝、帰還等にに関する見解の相違が、地域社会や家族内に分断を生じさせ、事故以前と同様の暮らしを営む
ことやコミュニティを維持することを困難にしてしまった側面があり、課題の複雑さを現場で学ぶことの意義は大きい。
本授業では、こうした原発事故後の福島が抱える様々な課題について学び、具体的な現場で事故後を生きる人々に寄り添いながら、
課題を解決する方法を考え合う。また、既に課題解決に向けて取り組んでいる行政や NPO 法人、学生ボランティア等の取組につ
いても学ぶ。授業の最後には、福島県内の仮設住宅や復興公営住宅等を訪問してのボランティア活動、NPO 法人・社会福祉協議
会・学校等への視察やヒアリングを行う 2 泊 3 日程度のフィールドワークを実施し、集中的に福島の抱える課題を学ぶ。
3 .学習の到達目標:
(1) 福島第一原子力発電所事故によって生じた被害や課題について、具体的な事例に即して理解する。
(2) 福島第一原子力発電所事故のもたらした課題を解決するための様々な取り組みについて、その意義と課題を具体的な事例に即
して理解する。
(3) 福島の抱える課題の解決に向けて必要なことについて、フィールドワークでの経験や調査に即して具体的に考え、自分自身に
関わる問題として考察することができる。
(4) 専門性や関心の異なる学生間や地域住民・行政職員・NPO 職員等と対話し、協働しながら、ボランティア活動やフィールド
ワークを企画立案し、実行することができる。
4 .授業の内容・方法と進度予定:
第 1 回 オリエンテーション(自己紹介、フィールドワークの説明・日程調整など)
第 2 回~第 9 回 講義および自主設定課題の報告、フィールドワークの企画立案・準備
第10回~第14回 福島県内のフィールドワーク( 2 泊 3 日程度/ 2 月中旬を予定/ボランティア活動も行う)
第15回 振り返り・まとめ
※初回オリエンテーション参加者の意欲・関心等に応じて、講義回数やフィールドワークの訪問先を柔軟に調整します。
※授業外で一度、「事前フィールドワーク」として、課外・ボランティア活動支援センターが主催・共催する福島県内でのボラン
ティア活動への参加を行い、中間レポートを提出してもらいます。
5 .成績評価方法:
自主設定課題報告(30%)、事前フィールドワークのレポート(30%)、最終レポート(40%)
6 .教科書および参考書:
検証 福島第一原発事故 原子力資料情報室 七つ森書館 2016 参考書
原発震災と避難 長谷川公一・山本薫子編 有斐閣 2017 参考書
7 .関連 URL:
東北大学課外・ボランティア活動支援センターhttps://www.ihe.tohoku.ac.jp/?page_id=7395
8 .授業時間外学習:
福島原発事故によってもたらされた諸課題について、関心のあるテーマについて自主課題を設定して授業外で調査し、授業内で報
告をしてもらいます。また、事前フィールドワークへの参加(土日祝日)や、事前および本番のフィールドワークで学んだ内容を
レポートにまとめる学習が必要です。なお、フィールドワークの立案・準備過程で、視察先へのアポイントメントやインターネッ
トでの調査等を行う可能性もあります
9 .その他:
東日本大震災および原発事故に関心のある学生、福島の現状に関心のある学生、ボランティア活動に関心のある学生等の幅広い参
加を期待します。