授業科目
本センターでは、1・2年生向けの全学教育の分野別教育を開発・提供するとともに、
学士課程教育、大学院教育を視野に入れ、各分野内の総合科目(自然科学、人文科学、社会科学、スポーツ)、
分野を超えて人類社会の課題に応える学際融合型教育科目の開発・実施を行っています。
また、学際融合型授業を英語など多言語で提供し、教育を国際的視野で推進しています。
以下では、近年、センタースタッフが新たに開発した総合科目・学際融合型教育科目を中心に紹介します。
遊学
展開科目/カレントトピックス科目 展開ゼミ
担当教員/中村 教博 山内 保典 中川 学
たとえ話から始めましょう。皆さんは旅をしています。旅先には、様々な料理があり、どれも美味しそうです。でも、時間も胃袋も限られています。そんなとき、まずは試食をさせてもらって、好みに合った料理を探し、意外な味との出会いを楽しむと思います。グループで参加していれば、情報交換もするでしょう。その上で、何を食べるのか考えると思います。
ここで「料理」を「学問」と置き換えてみてください。同様に、学生でいる時間も限られており、すべてを学ぶことはできません。そうであれば、同じアプローチが有効ではないでしょうか。東北大学には様々な学問分野があり、そうした各分野の専門家が1時間程度で特定のテーマを解説する「セミナー」が多く実施されています。そうしたセミナーを試食して(ためして)、その情報交換をして(つなげて)、自分の興味や問題意識の本質を見つめる(ふりかえる)のが、この授業です。この授業を通して、皆さんが新しい学問や自分の興味と「であう」こと、さらに専門を超えて好奇心を「ひろげる」ことを期待しています。
ビッグヒストリーで紡ぐ社会と自然科学
基幹科目/自然論
担当教員/中村 教博 ほか
社会や宇宙、地球は穏やかに変化するものであって、常識から極端に外れるような変化は起きないと考えていたかもしれません。でも、リーマンショックや東日本大震災など、我々はこれまでの常識では計り知れないほど複雑で、極端にひどい事象が起きてしまうことを知りました。これまでの常識を踏まえつつも、それを突き破るような新しい概念でこれらの複雑怪奇な事象に当たらなければ、問題を解決してゆけないかもしれません。
この授業では、自然科学者や人文社会科学者が積極的に異分野の知識を吸収し、丹念に証拠を集めて試行錯誤して紡がれた宇宙創生・地球誕生から現代社会に至る138億年の歴史を概観します。また、異なる学問分野の知識が組み合わされて、既存の常識を打ち破る仮説が生み出されることでパラダイムが転換され、歴史が紡がれてきたことを、いくつかの事例を取り上げて解説していきます。この授業では、138億年の憂愁の歴史を学ぶことで、それを新しい視点でつなぎ合わせることで、人工知能ではできない全く新しい考え方や概念を生み出していけることを学んで欲しいと考えています。なお、生命に関するテーマは英語で授業が進められます。
汎用的技能ワークショップ
基幹科目/人間論 展開ゼミ
担当教員/山内 保典
「10年先の社会はどうなっているのか。その社会で活躍するために、どのような技能を大学で学ぶのが良いのか」。この授業の背景には、こうした問題意識があります。そして、その一つの解として、様々な文脈で活用できる汎用的技能の習得があると考えています。
この授業では、汎用的技能の中でも、特に認知的能力(問題発見、拡散的思考、収束的思考、批判的思考、メタ認知能力など)に焦点を当てます。知識基盤社会においては、知を理解し、活用し、生み出す能力が求められているからです。そして大学での学びは、こうした知に関する汎用的技能の習得に最適です。この授業で様々な頭の使い方の基本を体験することにより、大学での学びが促進されると考えています。
授業では集大成として、学生同士が「つながる」ことで、簡単なプロジェクトを進めてもらいます。その中では、アイデアとアイデアが「であう」ことで、さらに新しいアイデアが生まれること、様々な思考法を身に付けることで、自分自身の可能性を「ひろげる」ことが体験できると思います。
みせる、学び:大学で何を学んだの?どう役に立つの?
展開科目/カレントトピックス 展開ゼミ
担当教員/山内 保典 中村 教博 串本 剛
大学で何を学んだのか?その学びが、次のキャリアや社会でどう役に立つのか?」という質問に、あなたはどう答えるでしょうか。この授業では、あなたの学びと研究について、3 つの「みせる」を異なる分野の学生とともに進めていきます。
1.見せる:これまでの自分の学びや卒業研究(構想)などを振り返り、その関係性を目に見えるようにしたり、言葉にしたりして、他者から見えるようにします。
2.診せる:様々な外的な基準に照らして、これまでの学びを診断していきます。その中で、自分の強みと弱みを明確にします。
3.魅せる:あなたの学びや研究の魅力を他のメンバーに意見も聞きながら考え抜き、表現する言葉や図を洗練させ、魅せるプレゼンテーションをつくります。
こうしたワークを通して、自分自身を捉える新しい視点に「であう」こと、その視点を通して自分の可能性を「ひろげる」こと、さらに異なる分野を専門とする学生同士が「つながる」ことで、新しいプロジェクトや研究が生まれることを期待しています。
アジアを知ろう、感じよう
展開科目/カレントトピックス科目 展開ゼミ
担当教員/芳賀 満 中川 学
近年、日本・韓国・中国のあいだでは政治レベルの摩擦や対立が強くなっていますが、東アジア諸国は交流を持ち、相互に影響し合ってきたと歴史を持つといわれています。そもそも私たちは、アジアの歴史とその特質について十分理解しているのでしょうか。この授業では、アジアにおける風土・歴史・文化等について、現代のアジアとのつながりを意識しつつ、文系・理系の双方=学際融合の視点から、分野を超えて、多様なアジア像を学ぶことを目的としています。学外の講師を交えた、多分野の教員が提供するオムニバス形式の授業を通じて、みなさんが近現代のアジアを巡る諸問題について、根拠に基づき、論理的に叙述できるようになることを期待しています。
また同授業では、外部講師の特色ある授業を公開講演会として市民に開く試みをおこなっています。以下、これまで開催した講演会の概要をあげておきます。
- ■ 第3回公開講演会「食から見た近世東アジアの「大分岐」」
- 桃木至朗 大阪大学文学研究科教授
- 2017年10月19日(水)14:40~16:10
- ■ 第2回公開講演会「戦後70年と東アジア-サンフランシスコ講和体制を考える」
- 内海愛子 大阪経済法科大学アジア太平洋研究センター所長
- 2016年11月19日(木)16:20~17:50
- ■ 第1回公開講演会「人はどう食べてきたのか― 自然観と食のかかわりを考える」
- 佐藤 洋一郎・人間文化機構理事
- 2016年10月29日(木)16:20~17:50
ラオスの米を試食しながら議論
第1回公開講演会ポスター
あなたの選択:事例で考える学びと研究における倫理
基幹科目/自然論 展開ゼミ
担当教員/山内 保典
研究データのねつ造などのニュースを目にする機会が多くあります。このように知を生み出したり、活用したりする際の作法を間違えると、知識基盤型社会においては、時に大きな問題になります。一方で、その作法を理解し、実践することは容易ではありません。例えば、専門分野や国によって作法が異なる場合もありますし、当事者を取り巻く状況によって、望ましい行動が阻害されている場合もあります。さらに言えば、科学技術にも社会にも、新しい変化が次々と生じており、作法自体も更新していくことが求められています。そのため、常に「どうすれば良いのか」を問い続ける必要があります。
この授業では、「知の生産者」の一員になる準備として、「どうすれば良いのか」の答えが1つに定まらない様々な事例について、自分ならどうするのかについて他の学生と議論を行います。その中で、自分とは異なる価値観と「であう」ことや、それを通して、自分の思考の枠組みを「ひろげる」ことを体験してください。
東北大学を学ぶ
基幹科目/人間論
担当教員/中川 学
私たちが学ぶ東北大学とは、どのような個性と存在意義を持った大学なのでしょうか。この授業は講義とペアワーク・グループワークを通じて、東北大学がどのような歴史を歩んできたのかを学ぶとともに、大学や学部などの特徴を歴史的に理解することを目的としています。到達目標は2つ、自らの学ぶ大学、学部、研究所などの歴史的特徴を理解し、他者に説明できること、自らが学ぶ大学の歴史について、史料の読解を踏まえて叙述できることです。東北大学に入学して、大学と「出会った」みなさんが、自分と「自分の大学」とを「つなぐ」糸口が生まれることを期待しています。
History of Tohoku University
基幹科目/社会論
担当教員/中川 学
この授業は東北大学の歴史について、フィールドワークや歴史資料の読解をもとにしたディスカッションを通して学びます。英語で自校史を学ぶ日本で唯一の科目です。外国人留学生だけでなく、日本人学生にも開かれており、受講生の授業評価には、「フィールドワークやクリッカーを使ったクイズが興味深かった」「学生同士のディスカッションにより理解が進んだ」などの声が寄せられています。外国人留学生とともに学ぶという学習経験を通じて、自らの学ぶ大学・学部などの歴史的特徴を、英語で理解し、他者に説明する力をつけることができます。結果として、自分と「自分の大学」とを「つなぐ」糸口が生まれることも期待しています。
留学生と学ぶ初心者空手
保健体育 スポーツB
担当教員/佐藤 道雄 藤本 敏彦
この授業では、外国人留学生と日本人学生が日本文化としての「空手」を学びます。多国籍空間-多国籍の学生が共に学ぶ環境-におけるスポーツという新しい形態の授業です。本授業では、英語と日本語の両方を用いて、受講生が空手の精神に触れ、基礎的技術を経験することを目指します。本授業における経験を通して、護身術や健康維持の方法を学ぶだけでなく、国際的にスポーツを捉える視点やスポーツを通じた英話コミュニケーションの力を持つことができます。
自然科学総合実験
展開科目/理科実験
担当教員/中村 教博
自然科学は、人類が求めている真理の探究を科学的に行い、得られた英知を様々な分野に還元・応用し、人類に貢献しています。この自然科学の探究プロセスにおいては、解決すべき課題に気づき、それに解答を与えるための仮説の提起が必要ですが、この仮説を検証したり、あるいは反証するために「実験」が重要な役割を果たします。またこの一連のプロセスおよびその結果と意義(意味)をまとめて著し、公表することによって新たな知の財産とすることができます。
自然科学総合実験(物理・化学・生物・地学の基礎事項を含む融合型実験)では、学生一人一人が自ら実験や観察を行うことで、自然の法則やしくみを理解するとともに、それを「自分の言葉でまとめる」ことを学びます。これにより自然科学の学習や研究に向けての取り組み姿勢を確立することに繋がります。この科目を受講することで、1) 論理的思考能力、2) 継続的に新しいことに興味を持ち、挑戦する意欲と能力、3) 科学的な文章を書く能力を身につけて欲しいと考えています。
自然科学総合実験
文科系実験
文科系実験ポスター